今回は「大きな声が出せない子どもたちへの声の調節スキル指導方法」について解説します。号令時に声が小さく、「聞こえない」と言われてしまうことはありませんか?言っているのかわからないが、何となく終わらせてしまった経験は?少し内気で声が出しづらい子どもへの適切な指導方法について、この記事をぜひご覧ください。

大きな声が出せない子どもの支援方法
どういう状態か?
子どもが人前で話すことに自信を失っている状態です。しかし、声を出せない原因は様々です。何を話せばいいのかわからない、声のコントロールが難しい、自分の声が聞いてもらえないと感じている、これらの理由が考えられます。
具体例:ボソボソと話すAさん
小学4年生のAさんは日直当番として授業の始まりと終わりに号令をかけますが、声が小さいため「聞こえない」と言われてしまいます。また、社会の新聞発表の際にも、黒板の前で発表すると、クラスの雰囲気が変わり、Aさんはボソボソとしか話せませんでした。担任の先生が「もう少し大きな声で」と促しても、Aさんの発表は伝わらずに終わりました。
このように、クラスの前で話すことによって子どもたちがさらに自信を失っていく状況を避けるための対策が必要です。
大きな声が出せない理由
前述のとおり、以下の理由が考えられます。
- 何を話せばいいかわからない
- 声のコントロールが難しい
- 自分の声が聞いてもらえないと感じている
正しい指導方法
何を話せばいいかわからない子どもへの対処
まず、「何を話せばいいかわからない」と言えるようにしましょう。事前に「わからない」と言っても大丈夫だと伝え、安心感を与えることが重要です。
声のコントロールが難しい子どもへの対処
聞こえる音量で話した際には、「OK」「〇」などのジェスチャーで反応しましょう。これにより、子どもは安心して話すことができるようになります。
自分の声が聞いてもらえないと感じている子どもへの対処
話すことの楽しさを再び体験してもらいましょう。3~4人の小集団で、安心して話す環境を作り、共感的に話を聞くことで、話すことの楽しさを実感させます。
間違った指導方法
ボソボソと話すAさんに「もっと大きな声を出しなさい!」と指導した場合、子どもは「自分が話す=怒られる」と感じ、さらに自信を失ってしまいます。このような指導は、場面緘黙症のリスクを高める可能性があります。
場面緘黙症とは
場面緘黙(Selective Mutism)は、特定の社会的環境では話せるが、特定の状況や人々の前では話すことが困難または不可能になる、子どもに多く見られる心理的障害です。この障害は通常、学校や社会的な集まりなどの特定の場面で顕著になります。家族の間では正常に会話ができるのに、学校や他の公共の場では口を閉ざしてしまうのが一般的な症状です。
場面緘黙はしばしば恥ずかしさや社交不安と混同されますが、これらとは異なります。場面緘黙を持つ子どもは、言語的には正常であり、しばしば家庭内で普通に話すことができます。しかし、学校や新しい環境では、極度の不安から声を出せなくなることがあります。
この障害の原因は完全には明らかになっていませんが、遺伝的要因、環境要因、家庭内のコミュニケーションのスタイルなどが影響しているとされています。心理学者は、場面緘黙が社交不安障害の極端な形態であると考えることもあります。
治療には、行動療法、認知行動療法、家族療法、学校との協力を含む多角的なアプローチが推奨されます。子どもが安心して話せる環境を作り、徐々にその範囲を広げていくことが重要です。また、子どもを強制的に話させようとするのではなく、非言語的なコミュニケーションを促進し、徐々に言語的な表現へと導くことが効果的です。
場面緘黙は、適切なサポートと治療を受けることで、克服可能な障害です。子どもが自分自身を表現する自信を持てるよう支援することが、治療の鍵となります。

注意点
場面緘黙症とは、家では普通に話せるが特定の状況(人前や学校で)話すことができない状態を指します。この状態にならないよう、話すこと自体が楽しいと感じられる環境を作ることが大切です。場面緘黙については別の記事で詳しく解説します。
まとめ
大きな声が出せない子どもへの声の調節スキルを身につけさせる方法について解説しました。共感的に小集団で話を聞き、話すことの楽しさを体験させることが重要です。小学生のうちに自信を失っている子どももいますが、そういった子どもたちにも丁寧に対応し、安心して話せる環境を作りましょう。
当ブログでは、児童生徒支援の他に不安障害や自閉症スペクトラムについての記事も書いていますので、ぜひご覧ください。



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